労災保険は「労働者災害補償保険」ですから、労働者が対象です。
しかし、労災保険制度には、もしもの場合に備え、社長・役員、一人親方でも労働者と同様の保険給付を受けられる「労災特別加入制度」が設けられています。
民間の保険でも多種多様な保険商品がありますが、民間だけにいずれも給付額や給付日数に上限が設けられています。高額な治療費が必要であったり、長期間働くことができない場合でも、保険契約上の制約を受けます。労災保険は国の制度ですので、治療費がどんなに高額であっても無料で、しかも治るまで治療を受けられます。
※業務上の傷病は、原則健康保険の適用はありません!
※詳細は下記のリンクをご参照ください。
✎ 法人代表者の健康保険の適用について (PDF形式ファイル)
労災特別加入には次の3つの種類があります。
下記の表内の各種類名称をクリックすると詳細を表示します。
【事例】 特別加入していた電気通信工事業の個人事業主が、電柱に登り作業中誤って梯子から足を滑らせ転落し、神経系統の機能に障害を残し、軽易な労務以外に服することができなくなった。 (障害等級7級に該当。給付基礎日額は6,000円の場合)
|
第1種特別加入者は、中小企業事業主等(家族労働者、役員含む)を対象としています。
そのため一定の会社規模が定められています。
業種 | 労働者数 |
---|---|
金融業 | 50人 |
保険業 | |
不動産業 | |
小売業 | |
卸売業 | 100人 |
サービス業 | |
上記以外の業種 | 300人 |
※ 代表者が特別加入すると、家族労働者や代表者以外の役員も包括して労災特別加入することになります
❗ 第1種特別加入するには、労働保険事務組合へ事務委託することが条件です。
労働保険事務組合とは、事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて、厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体です。
私ども「第一労務管理協会」は、昭和49年に認可された歴史ある労働 保険事務組合です。
詳細は、当サイト内の 【ご利用料金】 ページの参照をお願いいたします。
中小事業主の第1種特別加入保険料率は、
※
保険料算定基礎額は下表より給付基礎日額を選択することで決まります。
(給付基礎日額は、保険給付の際の基礎額となります)
給付基礎日額
給付基礎日額 | 保険料算定基礎額 |
---|---|
25,000円 24,000円 22,000円 20,000円 | 9,125,000円 8,760,000円 8,030,000円 7,300,000円 |
25,000円 24,000円 22,000円 20,000円 | 9,125,000円 8,760,000円 8,030,000円 7,300,000円 |
18,000円 | 6,577,000円 |
16,000円 | 5,840,000円 |
14,000円 | 5,110,000円 |
12,000円 | 4,380,000円 |
10,000円 | 3,650,000円 |
9,000円 | 3,285,000円 |
8,000円 | 2,920,000円 |
7,000円 | 2,555,000円 |
6,000円 | 2,190,000円 |
5,000円 | 1,825,000円 |
4,000円 | 1,460,000円 |
3,500円 | 1,277,500円 |
主な業種別労災保険料率表
業種 | 1,000分の |
---|---|
建築事業(既設建築物設備工事業を除く) | 9.5 |
機械装置の組立又は据え付けの事業 | 6.5 |
食料品の製造業 | 6.0 |
印刷又は製本業 | 3.5 |
機械器具製造業 | 5.0 |
その他の製造業 | 6.5 |
貨物取扱事業 | 9.0 |
ビルメンテナンス業 | 5.5 |
卸売業、小売業、飲食業 | 3.0 |
その他の事業 | 3.0 |
※
労災保険料率は業種よって詳細に定められています。(上記料率は平成30年度版)
※詳細は厚生労働省・都道府県労働局のHPをご参照ください。
※第1種労災保険料算定例 小売業の事業主が給付基礎日額5000円で特別加入した場合 1,825,000円(保険料算定基礎日額)×3.0/1,000(労災保険料率)=5,475円 年間特別保険料額 5,475円(年) 月額換算 約456円(月) |
❗ 特別加入者の業務災害、通勤災害認定は、労働者と異なり認定基準が限定的になっていますので、注意が必要です。(業務中、通勤中だからといって必ず労災認定されるわけではありません。)
※詳細は下記のリンクをご参照ください。
✎ 労災と健康保険の関係 (PDF形式ファイル)
労働者を使用しないで事業を行う以下の人が対象です。
イ.
個人タクシーや個人貨物運送業者
ロ.
大工、左官、鳶
ハ.
漁船による水産物植物の採捕の事業を行う人
二.
林業を行う人
ホ.
医薬品の配置販売の事業を行う人
ト.
再生利用の目的となる産廃物の収集、運搬、選別、解体等の事業を行う人
※
労働者を使用している一人親方でも特別加入できますが、労働者を使用する日の合計が年間100日以上見込まれる場合は、第1種特別加入者となります。
❗ 第2種特別加入するには、一人親方等の団体に加入しなければなりません。
私どもは、一人親方等の団体である「建設事業一人親方組合」「運輸事業一人親方組合」をご用意しています。
❗ ゼネコンやハウスメーカーから労災特別加入の指導を受けていませんか?
「労災特別加入していますか?」「加入証明書を提示して下さい」と現場担当者から聞かれることも多くなりました。
ゼネコンやハウスメーカーその他建設工事を行う会社で、労災保険の特別加入を義務付けられています。労災特別未加入者は仕事をさせて貰えず、現場への立ち入りも禁止されています。
元請け・下請け・孫請けの従業員は元請けの労災保険の適用を受けますが、いずれの一人親方、元請け・下請け・孫請けの経営者は労災保険の適用対象外となります。
このため元請け・下請け・孫請けの経営者は「第1種特別加入」、一人親方は「第2種特別加入」することにより労災適用となります。
また特別加入することにより元請けの労災を使うことなく、自前の労災保険を使うことができます。
入会金 | 初年度のみ | 1,050円(消費税込み) |
---|---|---|
組合費 | 月額 | 2,100円(消費税込み) |
一人親方の第2種特別加入保険料率は、
建設事業 一律に18/1,000
運輸事業 一律に12/1,000
と定められている保険料率が適用されます。
※第2種(建設事業)労災保険料算定例 大工の一人親方が給付基礎日額5000円で特別加入した場合 1,825,000円(保険料算定基礎日額)×18.0/1,000(労災保険料率)=32,850円 年間特別保険料額 32,850円(年) 月額換算 約2,737円(月) |
海外へ派遣された方についても、日本国内と同様の労災保険の給付が適用されるように設けられたものです。(通常、その国の災害補償制度の対象となりますが、外国の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分でない場合もあることからこの制度が設けられています。)
本来、労災保険は、日本国内にある事業場に適用され、そこに就労する労働者が給付の対象となる制度のため、海外の事業場で就労する方は対象となりません。国内の事業場で就労していた方が転勤命令等で海外の事業場へ派遣された場合についても海外の事業場で就労する限り同様です。
第3種特別加入保険料率は、一律に3/1,000と定められている保険料率が適用されます。
※詳細は下記のリンクをご参照ください。
✎ 海外派遣者の特別加入 (PDF形式ファイル)
労災保険には、下記の種類の給付があります。
※詳細は下記のリンクをご参照ください。
✎ 労災保険給付一覧表 (PDF形式ファイル)
種類 | 事案 |
---|---|
療養補償 | 病院で傷病により療養するとき |
休業補償 | 傷病の療養のため働けす、賃金(報酬)を受けられないとき |
障害補償 | 傷病が治った後に、障害等級に該当するとき |
遺族補償 | 死亡したとき
|
傷病補償 | 傷病が治らず、傷病等級に該当するとき
|
介護補償 | 障害、傷病等級の1級又は2級に該当し介護を受けているとき
|
葬祭補償 | 死亡した人の葬祭を行うとき
|
※ 特別加入者の保険給付額は、3,500円から25,000円の給付基礎日額から選択した額が基礎となります。
労災保険特別加入で保険料以外の特別な費用はかかりませんが、労災保険事務組合「第一労務管理協会」への業務委託が前提となります。詳しくは、「ご利用料金」をご覧下さい。
当事務所は社会保険労務士個人情報保護事務所として認定されました。